柳家小さん 「五代目柳家小さん落語傑作選 其の七」

五代目柳家小さん 落語傑作選 其の七 [DVD]  五代目 柳家小さん 落語傑作選 全集 [DVD]

  • 「五代目柳家小さん落語傑作選」全集DVDボックス。微妙に間が開きましたが、其の七は「粗忽の使者」と「にらみ返し」。例によって引用は京須供充。
  • 「粗忽の使者」(1977年)は、「こういう噺ほど大まじめに、とまでは言わないが、正攻法に演じなければ噺のおもしろさが浮き彫りにならない。架空的だが深刻な境遇にある人物治部右衛門と、渋くて現実味のある三太夫。この二人の対比から発生する笑いの元素に、陽気な留ッこが火をつける。この三者のトライアングルの形が崩れたら、この噺はくだらない。柳家小さんの滋味と古今亭志ん朝の闊達とが、この噺の双璧だと思う」とのことですが、まぁ他愛もない噺。
  • 治部田(地武太?)治部右衛門の尻を見て、「随分毛が生えてんだな、お前なぁ、みんな自分のか、これ?植えたんじゃねぇだろうなぁ、こんなに毛を生やしてどうしようってんだ、おい、コオロギでも飼うってのか」は笑いました。
  • 「呆れ烏の背中チャンギリ」というのは何なんでしょうか。
  • 「にらみ返し」(1986年)は「キセル片手に睨み据えて撃退するのがミソだから、見る噺」ですが、「笑いの過半は、睨まれる側の反応が生む。充分に、きく噺でもある。強面の取り立て屋が型にはまった硬軟の使い分けをし、大いに脅したあと、一転して談合をもちかける。そのマッチポンプの一人芝居を柳家小さんは絶妙なイキで表現した」とのこと。
  • 借金の言い訳屋が出てくる前の、薪屋の借金を踏み倒す件(「ハッキリ決めて帰れ、貰ったとか貰わねぇとか」、「俺頭悪くなっちゃったんでなぁ、お前も貰わねぇものを貰ったってのは心持ちが悪いだろうしなぁ・・・・・あ、そうそう、ここでお前に勘定を渡したっけなぁ、受け取ったなぁ?」)が最高に可笑しい。