- 「五代目柳家小さん落語傑作選」全集DVDボックス。其の九は「王子の狐」と「御慶」。
- 「王子の狐」(1977年)は「先行の小咄や諸国奇談などに類話がみられ、文化年間のネタ帳に『馬くそ』と記されているのが、この噺ではないかと言われている。上方にも同工異曲の『高倉狐』という噺があり、これを初代三遊亭圓右が学んで東京の現行の形にしたとも言われる。故八代目春風亭柳枝が十八番としたほか、現在も演者が多いが、五代目小さんの演目としは珍しいほうといえる」とのことですが、冒頭からいきなり人間が狐を騙しにかかるところが可笑しい。
- 「御慶」(1977年)は「二代、三代、四代の小さんが得意にした噺で、五代目は師匠の四代目のを聞き覚えて、二つ目の時分から高座へかけたという、お正月向きのおめでたい演題で、またの題を『冨八』『八五郎年始』ともいい、ほかにあまり演者がなかったので、初席の『御慶』は小さんの独壇場のようになっていた」とのこと。1月2日放送。
- 「石町(こくちょう)の時の鐘より椙森(すぎのもり)突き出す富の響く江戸中」=石町は、後の中央区日本橋本石町で、ここで市民に時刻を知らせる時の鐘を撞いていた。椙森は、日本橋堀留町の椙森神社で、ここで富くじの当たり札を決める突き富が行われた。この歌は、鐘を撞くと富を突くとをかけて、突き富の賑わいを詠んだもの。
- 江戸の三富=谷中の感応寺、湯島の天神、目黒の不動。
- 見得(けんとく)=自らの智慧を働かせて真理を悟ること。会得すること、理解すること。
- 「おかちん」=餅。
- 「御慶(ぎょけい)」、「永日(えいじつ)」という挨拶にも馴染みがないところに、「ぎょけい」〜「どこへ」に対して「恵方詣りに」というサゲも実に非現代的で古色蒼然とした印象は免れません。縁起物といったところでしょうか。
- 追記。