柳家小さん 「五代目柳家小さん落語傑作選 其の十」

五代目柳家小さん 落語傑作選 其の十 [DVD]    五代目 柳家小さん 落語傑作選 全集 [DVD]

  • 「五代目柳家小さん落語傑作選」全集DVDボックス。いよいよオーラスの其の十は「八五郎出世」と「たぬき」。例によって引用は京須偕充
  • 八五郎出世」(1984年)は、「大名屋敷に紛れ込んだ“珍獣”を眺めるおもしろさが噺の中心だが雲上人になってしまった妹の幸福に悲しみを覚える老母の心情も添えられ、ききどころ、ききごたえたっぷりの名作、大作として知られている」とのことですが、ここでは老母の絡みはバッサリ省略。一緒に酒を飲む前のところで「よろしく頼むよ、殿公」で終了。
  • 「たぬき」(1978年)は、「恩返しの狸が札に化けるのが『狸の札』である。札に化けたはいいがノミが飛び出したり、裏毛の札だったりする。借金取りのガマグチの中にまんまと納まって持っていかれるが、細かく畳まれて苦しいので、ガマグチを食い破って逃げ戻る。ついでに脇にあった札をくわえてきた、というお笑い。『狸賽』の前段としてやられることもある」、「『狸の鯉』は祝い物の鯉に化けて届けられるが、さっそく俎板に載せられ、包丁持つ手を引っ掻いて逃げ出す。鯉が引っ掻くなんて考えられないと騒いでいるうちに、鯉は薪の山を登って逃げる。鯉のマキノボリ、というサゲだ」、「他に茶釜に化けて火にかけられる『狸の釜』もある。現在、主に演じられているのは『賽』と『札』だ。どの組み合わせにせよ、続けて演じる時は、ただ『狸』という題のこともある」とのことですが、ここでは「狸の札」から「狸の鯉」。
  • 「師匠の四代目小さんが得意としていたのを継承、前記の四話をすべてレパートリーにしていた五代目は、『狸の噺をするときは狸の了見になれ』という師匠の教えを、落語話芸の要諦として、よく引用していた」とのこと。
  • 「本所の七不思議」=置行堀(おいてけぼり)=送り提灯(おくりちょうちん)=送り拍子木(おくりひょうしぎ)=燈無蕎麦(あかりなしそば)=足洗邸(あしあらいやしき)=片葉の葦(かたはのあし)=落葉なき椎(おちばなきしい)=狸囃子(たぬきばやし)=津軽の太鼓(つがるのたいこ)
  • 「まな板の上の鯉」という諺はありますが、その元となる「鯉ってやつは魚の中の侍」、「往生際の良い魚」であり、濡れた布巾等で目を塞ぐとおとなしくなるとは初耳でした。
  • シリーズ全体として、テレビ放送用に平易に短めにやっているのが若干気にかかりましたが、全10巻、堪能しました。
  • 次は桂枝雀「十八番(DVD)」。