加東大介 「南の島に雪が降る」

南の島に雪が降る (知恵の森文庫)

  • 年明けに、半藤一利保阪正康 「昭和の名将と愚将」、梯久美子 「散るぞ悲しき−硫黄島総指揮官・栗林忠道」と立て続けに読んだ際にいくつか購入した太平洋戦争関連書籍のうちの一つ。8月ということもあり手が伸びました。
  • 本作のハイライト(「東北の兵隊とです」)は小林よしのり「新・ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論」(もう11年前!)でネタバレ済み(小林よしのりの祖父=怪僧・篠田軍曹)だったのですが、それでもなお感動的。終章「七千人の戦友」にもウルッときました。
  • 戦争末期の西部ニューギニア、イドレ死の行軍に参加しなかった残留組ですから、筆舌に尽くしがたい悲惨な状況も数知れずあったことと思われますが、多くを語らないところに凄みがあり、含蓄のある文章とは言い難いものの、極力物事の明るい側面に焦点を当てて淡々と朗らかに描く文体に人柄が滲み出ているように思います。
  • 貴重な写真とともに残された一級の戦記で、語られる事実に圧倒されます。