桂米朝 「桂米朝上方落語大全集第四期(31)」

桂米朝 上方落語大全集 第四期

  • 「特選!!米朝落語全集」のシリーズは比較的新しい録音ですが、こちらの「桂米朝上方落語大全集」のシリーズは1970年代の録音が中心で、全くの別物ということを昨年11月に知り、4つのボックスそれぞれの演目をじっくりと比較考量の上、第四期を購入。
  • 薄型ケースのコンパクトなパッケージに、解説と速記を収録した充実のブックレットと、大変好感の持てる良いパッケージ。
  • 半年程前に購入して以来、チョコチョコと聞いてはいたのですが、この辺りで腰を据えて聞くことにします。第31集は「らくだ」(1970年7月17日。大阪サンケイホール)と「持参金」(1973年1月22日。京都会館第二ホール)。
  • 京須偕充によると、上方の「らくだ」といえば六代目笑福亭松鶴が「すさまじい存在感があった」とのことで、脳溢血前の音源が聴いてみたいところですが、桂米朝の「らくだ」は「全く対照的な方向をとり、屑屋の人間性と境遇の描写を丁寧にやって、味わい深い市井譚の世界を創り上げた」とのこと。
  • 本人も「私の師匠は上方でいわゆるコツキと称する役柄、つまり熊五郎のような線の太いあら男に不向きな人でしたので、紙屑屋を押出して熊五郎をなるべくかげへ回すやり方をとっていました」と解説しています。
  • 「持参金」は「古くは『逆さまの葬礼』という題で、このレコードに収録されている部分からあとがあったのですが、その件りはいささか卑猥にわたる」とのこと。棺桶に入れられたおなべの死体を見た親が胸毛の生えた男の死体だと言うので、覗いてみると死体が逆さまに入れられていた、というもののよう。
  • 「このはなしのつらい点は、途中でネタがばれてしまうことです。意表外に出る面白さがどうしても小出しにされてしまうので、それを押切ってダレささないだけの工夫と力が要るということになります」とのことで、サゲの切れ味の悪さはいかんともしがたいですが落語らしい落語で良い雰囲気です。百円札が町内で回覧されるマクラも可笑しい。
  • 第32集は「崇徳院」、「看板の一」、「狸の化寺」