2009-12-06 「雨あがる」 映画 NHK−BSで10月9日放送。91分と短尺。 山本周五郎の原作を基にした、黒澤明の未完成の遺稿を黒澤組が完成させた2000年公開作品。 小西康陽も書いていましたが、冒頭20分程こそは黒澤明の縮小コピーのような世界が展開されて心配になりますが、雨が上がってからはどんどん良い感じになっていきます。 三船敏郎の息子が役者をやっていたとは知りませんでしたが、あの芝居口調が、「影武者」の隆大介的な雰囲気で、黒澤組っぽい気もしないではない。すくなくとも愚直なリアリズムではない寓話的な雰囲気を醸成しています。 直接的な因果関係はないのでしょうが、山田洋次/藤沢周平の時代劇3部作を想起せざるを得ません(「たそがれ清兵衛」が2002年)。 黒澤明の遺稿云々という文脈が当時はコマーシャリズムとして認識されていたような気もしますが、今になって虚心坦懐に観てみれば、愛すべき小品ともいうべき好もしい佇まい。