Rodger Nichols & the Small Circle of Friends 「The Complete Rodger Nichols & the Small Circle of Friends」

コンプリート・ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ

  • 小西康陽マーシャル・マクルーハン広告代理店。ディスクガイド200枚。小西康陽」で最長の見開き4ページに渡って熱い思いが語られていたアルバム(「あの奇妙なアルバム・カヴァーのレコードに導かれて、自分の人生はここまで来てしまったのだ」)。ロジャー・ニコルズ&ポール・ウィリアムス「愛のプレリュード」が素晴らしく良かったので購入。
  • 「でも、たとえぼくがロジャー本人と握手したりするチャンスなど持ち得なかったとしても、『ドント・テイク・ユア・タイム』から始まるこのアルバムの素晴らしさは、これから先もずっと変わることはないわけで。このアルバムたった一枚が存在するだけ、他に何の情報もなかったとしても、ぼくはこの音楽に永遠にノックアウトされ続け、永遠に生まれ直したような気持ちにさせられ、そして永遠に音楽の喜びに目醒め続けるはずです」と、ライナーもまた熱い。
  • しかしながら、「ぼくが87年に書いたライナーは、拙著『これは恋ではない。』(幻冬舎)に収録しました。よかったらチェックしてください。恥ずかしいのですが」とありますが、その「これは恋ではない。−小西康陽のコラム1984−1996」が手に入らないのです。
  • 1〜12がオリジナル・アルバム収録曲。「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド」と「アイル・ビー・バック」はビートルズ、「ココナッツ・グローヴ」と「ディドゥント・ウォント・トゥ・ハフ・トゥ・ドゥ・イット」はラヴィン・スプーンフルのカヴァー。「ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート」はバカラック/デイヴィッド、「スノウ・クィーン」はゴフィン/キング。
  • 13〜19がボーナス・トラック(シングル音源?)。「アワ・デイ・ウィル・カム」はモート・ガースン(オリジナルはルビー&ザ・ロマンティックス)、「ラヴ・ソング、ラヴ・ソング」はラリー・マークス/ダグ・ティブルスとのことですが詳細不明。
  • 何度も繰り返し聴いている間に少しずつ好きになりつつありますが、小西康陽が言うようにはノックアウトされないのは何故だろうとしばらく悶々としていました。
  • 冒頭、目眩くような「ドント・テイク・ユア・タイム」でグッと鷲づかみにされるにも関わらず、「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド」のカヴァーで突き放されるというか、集中力を殺がれる感じでしたが、カヴァー曲にピンと来ないということに気がついてから徐々にポイントが掴めてきました。
  • 要するに、「ドント・テイク・ユア・タイム」、「アイ・キャン・シー・オンリー・ユー」、「ラヴ・ソー・ファイン」、「カインダ・ウェイステッド・ウィズアウト・ユー」、「ジャスト・ビヨンド・ユア・スマイル」、「キャン・アイ・ゴー」というメインとなるオリジナル曲の間に小洒落たカヴァーが挟まっていると理解すると耳馴染みが良いです。希代のソングライター。
  • キャッチーな「ドント・テイク・ユア・タイム」と「キャン・アイ・ゴー」で頭とお尻を固めている辺り名盤の風格。詳細定かではありませんが、A面ラストが「ラヴ・ソー・ファイン」、B面頭が「カインダ・ウェイステッド・ウィズアウト・ユー」だとすると、アルバムとしてのバランスの良さが更に際立ちます。
  • オリジナル曲はどれもチャーミングですが、ストリング、ホーン、コーラスが流麗に絡み合う「ドント・テイク・ユア・タイム」が何はなくとも素晴らしく、一撃必殺の切れ味。