- アンツル先生の著作には殆ど関心がなかったのですが、書店で実物を手にしてみると写真が実に良いので購入。
- 文章も特に高段に構えた論評などではなく、問わず語りの思い出という風情で、写真への添え物として適度な感じ。
- 中でも、東京の地名から連想される御蔵蜆などの古い話がホロリホロリと語られる「落語風土記」が良い雰囲気。
- なんといっても金子桂三の写真が素晴らしい。古今亭志ん生、桂文楽、桂三木助といった落語家のポートレイトも良いですが、人形町末広の外観や下足の様子、辻講釈の舞台裏や厩橋の風景など、ためつすがめつ見返してしまう写真ばかり。
- 高田文夫の解説で紹介されていた「あっさりと恋も命もあきらめる江戸育ちほど哀しきはなし」という文句は確かに泣けます。