安藤鶴夫・金子桂三 「寄席はるあき」

寄席はるあき (河出文庫)

  • アンツル先生の著作には殆ど関心がなかったのですが、書店で実物を手にしてみると写真が実に良いので購入。
  • 文章も特に高段に構えた論評などではなく、問わず語りの思い出という風情で、写真への添え物として適度な感じ。
  • 中でも、東京の地名から連想される御蔵蜆などの古い話がホロリホロリと語られる「落語風土記」が良い雰囲気。
  • その金子桂三のあとがきは、光量不足で撮影に苦労した話も興味深かったですが、紹介されていた安藤鶴夫との出会いの経緯(「その本は俺の本だ」)がすこぶるドラマティックで感心しました。
  • 高田文夫の解説で紹介されていた「あっさりと恋も命もあきらめる江戸育ちほど哀しきはなし」という文句は確かに泣けます。