- サンドラ・ブロック主演で映画化という情報から、BALのルーキーOTマイケル・オアーの半生記だとばかり思っていたのですが、OL対パスラッシャーを中心としたNFLの歴史等も紹介されているとのことで、NFLのプレイオフも始まったことですし盛り上がるためにも購入してみました。
- ビル・ウォルシュによるウェストコースト・オフェンスの席捲や、フリーエージェント制度の導入によるレフトタックルのサラリーの急騰等、系統立てて説明されると、改めてなるほどそういうことだったのかと感心してしまいます。
- 映画の主題となるマイケル・オアーとテューイ家とのストーリーについては、マイケル・オアー本人の肉声がほとんど出てこないこともあってか、意外に淡泊な印象(ベタベタではないところにリアリティーはあるのですが)。
- 飛び抜けた能力のない子にとっては何の救いにもならない話だなと、やや腑に落ちない部分もあったのですが、意外なことに河口正史の解説「プロスポーツ選手は運動だけのスペシャリストではない。人生のメンターでもあるのだ」で妙に納得してしまいました。
- どちらもスカウティング(人材の選び方、その成功と失敗)の話と言えましょう。この人がサラリーキャップ下におけるNFLのチーム運営のあり方(ビル・ポリアンやフロイド・リースといったGMのフィロソフィー等)を書くと面白いと思う。
- 本書がアメリカで発売されたのは2006年のことでしたが、「3年後のNFLドラフトで彼がもし上位15名に入っていなかったら、それは誰かが彼をダメにしたということだ」というニック・セイバンの予言のとおり(ほぼ)、2009年のドラフトでボルティモア・レイヴンズが1巡23位で指名。1年目からシーズンを通じてしっかりと先発を務めているのですから、感動もひとしお。