- みすず書房が翻訳コミックを発行したということを毎日新聞の書評で知ったのですが、特に興味をそそるような内容ではなかったのでスルー。その後、「映画秘宝」でもアラン・ムーアの名前を目にし、参照元の幅の広さは面白さの証左ではないかと思い購入。
- 物語の土台を提示する4章までの展開に迷子になりそうになりながら、5章以降は爆発的な勢いで読了(久々に電車を乗り過ごしました)。「補遺 ?:カモメ捕りのダンス」を読了後、「補遺?:各章の注解」と本編を交互に眺めつつ2周目も終了。「眩暈のような読書体験」という惹句は伊達ではありません。
- だからなんだといえばそれまでの話なのですが、壮大にして重層的な世界を緻密に畳み込む凄まじい構成力で、モチーフよりも創作に込めたエネルギーに圧倒されます。
- 本作特有の語り口なのかもしれませんが、海外コミックと日本のコミックとのマナーの違いに若干戸惑いましたが、慣れてくるとこの顔の識別が付かない具合も意図的なものだと思えてきます(横山光輝「三国志」とは違います)。
- 久々に新たな鉱脈に当たった好感触。「ウォッチメン」や「Vフォー・ヴェンデッタ」、その他の作家の作品などもいくつか手を出してみたい。要検討。