- 引き続き海外コミック探求。「バットマン:イヤーワン/イヤーツー」。
- アラン・ムーアによるジョーカーのオリジンに続いて、フランク・ミラーによるバットマンのオリジン「イヤーワン」(1986〜1987年)。地味ながらハードボイルドな世界はさすがに名作の雰囲気で、最初違和感を覚えたデヴィッド・マズッケリによる絵も、読み進めるうちにこれしかないという気がしてきます。
- 最悪の犯罪都市で「何を間違えたせいで、無垢な子供を放り出さねばならないのだ?こんな・・・・・希望のかけらもないない街に・・・・・」と自問するジェームズ・ゴードンの姿は、映画「セブン」(1995年)を思い出させました。実際の影響関係までは分かりませんが。
- それに比べるとマイク・W・バーによる「イヤーツー」(1987年)は、「イヤーワン」との直接的な関連性がない上に、銃を手にするに至る葛藤、レイチェルと恋に落ちるきっかけ、ジョー・チルが大物になっている理由、老齢のジャドソン・カスピアン(リーパー)の桁外れの強さの秘密等々、大事なディテイルについては何一つ腑に落ちる描写がなく、今一つな感じ。
- 邦訳が中途半端なところで止まっていたという経緯はあるようですが、パッケージとして収める必要があったかどうかはやや疑問。
- 付属資料の類は本冊には一切付属していませんが、挟み込みの解説リーフレットを読んでいるとDCユニヴァースのジャングルのような奥深さ・複雑さが窺えます。行き当たりばったりで訳が分からなくなってしまっているのは日本も米国も本質的には変わりは無さそうで、あまりディープに追求したい世界でもないかもしれません。
- といいつつも邦訳が出ている「ダークナイト」は可能であれば入手して読んでみたいところ。