- 単行本未収録の雑多な評論を片っ端から収録したシリーズのようですが、シリーズを通して表紙がとても印象的。以下シリーズ全10作と表紙に使われた映画作品のメモ。
- 「映画狂人日記」(「コシュ・バ・コシュ/恋はロープウェイに乗って」)
- 「映画狂人、神出鬼没」(「カリスマ」)
- 「帰ってきた映画狂人」(「アイランズ/島々」)
- 「映画狂人、語る」(「映画史」)
- 「映画狂人、小津の余白に」(「東京物語」)
- 「映画狂人シネマ事典」(「遠い喇叭」)
- 「映画狂人 シネマの煽動装置」(「カリフォルニア・ドールズ」)
- 「映画狂人のあの人に会いたい」(「UNLOVED」)
- 「映画狂人万事快調」(「最前線」)
- 「映画狂人最後に笑う」(「生活の設計」)
- 晦渋をもって鳴らす蓮實重彦の文章ですが(フランス現代思想に影響を受けるとこうなるのでしょうか)、こと映画に関する限り若干回りくどいぐらいでさほど難解でもなく、意外にスルリスルリと読むことが出来ました。「映画千夜一夜」でデボラ・カーの顔はバカみたいかどうか等の他愛のない話に興じていたのを目にした効果かもしれません。
- 特に、淀川長治追悼文「あの『寛大な厳しさ』に甘えることはもうできなくなってしまった」が、飛び抜けてストレートかつ無防備で泣けます。
- 観てみたい作品も色々と。通常のレンタル店にはない作品ばかりなので、この機会に宅配レンタルにでも加入しようかとも思いましたが、それなりに著名なテオ・アンゲロプロスでも貸し出ししていないようで、やはり映画は早稲田松竹やシネマヴェーラ等の劇場にこまめに足を運ばないといけないよう。出不精には誠に不向き(そもそもスクリーンでの鑑賞に拘らないようではお話にならないのかもしれませんが)。