アラン・ムーア/デイヴ・ギボンズ 「ウォッチメン」

WATCHMEN ウォッチメン(ケース付) (ShoPro Books)

  • 原書と邦訳の両方を購入し、どちらで体験しようかと悩みましたが、自らの英語力のなさを自覚して邦訳で読み始めてすぐにそれが正解であることを理解しました。この複雑な内容を原書で理解するのはとてもとても。
  • 楽しみにとっておいたにも関わらず特にきっかけもなく読み始めてしまいましたが、相変わらず尋常ではなく精緻な作り込みに圧倒されます。
  • 宇多丸は「例えば、原爆投下が戦争を早く終わらせたんだ、っていうアメリカ人の言い分がありますよね? 仮にそれが事実だったとしても、あなたはそれをどう感じますか? そこで何かを感じる人だったら、この『ウォッチメン』はそういう話」と大要を述べていますが、それだけではなく、繰り返しの鑑賞と多元的な読み方が可能だと思います。
  • コミックで唯一のヒューゴー賞ウィナーという金字塔的傑作ですが、人工エイリアンのディテイル(イカ)が全体の雰囲気や緻密さを損じているようでなんとももったいない。
  • 壮大な世界を展開しておいて最後の最後が愚民の象徴であるシーモア(「I leave it entirely in your hands」)というのが格好良いです。クールに演出された暖かいメッセージ。
  • アラン・ムーア原作の「スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード」も邦訳が発売されたようですが、直ちに購入という心理状況ではありません。