- エッセイ「モノ書きピアニストはお尻が痛い」に続いて青柳いづみこの本格的著作。
- 博士論文がベースということで、苦戦することを覚悟して読み始めましたが、文学者との関係性を中心に展開されるトリヴィアルな内容は予想以上の面白さ。
- 「ドビュッシーをひき裂いていた音と言葉の問題」という、「モノ書きピアニストはお尻が痛い」でも触れられていたモチーフをより学術的、本格的にまとめたものというところですが、仏文学者の孫にしてピアニストである同著者によってのみ可能な世界であるのは間違いないでしょう。
- それだけに「この書は、生前はほとんどすれちがいで終わったドビュッシー愛好家の亡祖父青柳瑞穂に、不肖の孫からの時空を越えたラヴ・レターとして捧げる」というあとがきにはグッときます。