Fania All Stars 「Our Latin Thing (Nuestra Cosa) -40th Anniversary Limited Edition」

Our Latin Thing (40th Annv)

  • 竹村淳ラテン音楽名曲名演111」を読んで久々にラテンをいくつか聴いてみたい気持ちに。手始めに映画「アワ・ラテン・シング」をと思ったところ、「ライヴ・アット・ザ・チーター」の2CDとのセットがあったのでそちらを購入。
  • CDの方は特に新たな感興なし。装丁もショボいし、DVDだけにしておけば良かった。
  • 他方で、初見だった「アワ・ラテン・シング」は文句なし。画質は悪いし字幕もありませんでしたが(英語で話す部分だけスペイン語の字幕が入る)、ヒスパニック・コミュニティのスケッチを挟みつつライヴ演奏を見せるスタイルは「ワッツタックス」(1973年)の先駆けとも言えましょうか。
  • やはり動く姿を見ると同じ音源でも響き方が違います。レイ・バレット(コンガ)の存在感、ラリー・ハーロウ(ピアノ)の格好良さ、そしてステージ上の人口密度の高さにはガツンときました。
  • 久々に手持ちの「ライヴ・アット・ザ・チーター」の旧盤を引っ張り出してライナーを読んでみると、藤田正の解説が実に勉強になります。曰く、
    • 「常夏のダンス音楽が、冬は極寒のニューヨークで大々的に演奏されるという、切なくも美しき矛盾」
    • サルサがそれ以前のマンボなどと決定的に異なるのは、観客を踊らせる以上の何かを、自分たちの音楽の中にも込められるはずだという発想が、根底にあったことである」
    • 「イントロダクション・テーマ」の「スムーズなビートは、ヴァイオリンをつかった編成(チャランガ)のそれを、応用したもの」
    • 「キターテ・トゥ」の「リズムはソン・モントゥーノ」で、「この時代のサルサには、このリズムがよく使われた。ねっちりしたビートによって、黒っぽい感覚がよく出せたからだろう」
  • ただし、「ヴォーカリストが歌い継いでゆく『キターテ・トゥ』は、それぞれが自分はどういう歌手であるかを、高らかに、あるいはユーモラスに語る。曲自体もいいが、彼らの自己紹介の内容の面白さが、サルサを聞き込むごとにジンワリ分かってくるという、スルメ味サルサの典型」と言われると、日本語字幕入りで「アワ・ラテン・シング」を観直したくなります。