長谷川町子 「サザエさんうちあけ話・似たもの一家」

サザエさんうちあけ話・似たもの一家

  • 小西康陽「これは恋ではない 小西康陽のコラム1984−1996」における「作者の長谷川町子のマンガによる自伝『サザエさんうちあけ話』はぼくの愛読書のひとつ」との言及に関心を持って購入。
  • 同じ文章で、「チャールズ・M・シュルツの『ピーナッツ』も大好きで、本も結構持ってます」と書かれているとおり、チャーミングな絵と筆跡で綴られる市井のスケッチは確かに「ピーナッツ」を思い起こさせ、大変魅力的。思わず長谷川町子全集が欲しくなるのですが、まずは「コンプリート・ピーナッツ」シリーズを読むのが先決だと思われます。
  • 東海林さだおと絵のタッチが似ている気がしましたが、新聞4コマというフォーマットが要請したというところもあるのでしょうか。
  • 日本パレットレンタル株式会社(JPR)の電車広告(「拝啓物流担当者様」)的な、絵文字というか絵心経風のスタイルのオリジネーターは誰なのでしょうか(杉浦茂?)。
  • 「似たもの一家」の方は、テレビシリーズにおける現在の磯野家の隣人・伊佐坂家が主人公。伊佐坂先生の書斎にあったヒロポンを隣家の子供が飲んでハイになる、という現時点から見るとギラつくエピソードが出てきますが、1951年の覚醒剤取締法の施行前の連載(1949年)なので、完全にリーガル。戦後のヒロポンの広範な流行は冨田均「聞書き・寄席末広亭−席主北村銀太郎述」でも強く印象に残りました。