2012-02-12 「人情紙風船」 映画 NHK−BSプレミアムで1月31日放送。1937年。山中貞雄監督の遺作。 原作は歌舞伎狂言「梅雨小袖昔八丈」(所謂「髪結新三」)。どこまでオリジナルに忠実かよく分かりませんが、かなり翻案が入っているような気がします。 中村翫右衛門と河原崎長十郎のコンビニは見覚えがあると思ったらそれもそのはず、同監督の「河内山宗俊」と同じコンビでした。 又十郎の妻おたきの表情の暗さが凄かったですが、現実世界でも河原崎長十郎の奥方だったようです(山岸しづ江)。岩下志麻の叔母にあたるそうですが、言われてみれば面影があるかも。 アメリカン・ニュー・シネマばりの結末のクールさは「河内山宗俊」以上かもしれません。 淀川長治/山田宏一/蓮實重彦「映画千夜一夜」によりますと、紙風船が転がるラストはジャック・フェデーの「ミモザ館」にヒントを得たんだそうです。 また、撮影の三村明はユナイトの名キャメラマンのジョージ・バーンズの弟子で、「オープン・セットの空に浮かんでいる雲は本当にアメリカ映画みたいだし、セット撮影も、照明がしっかりしているから、切り返しが観てて気持いいんです。あの三村明はやっぱりハリウッドで修行してきた人だなあって思いました」(蓮實重彦)とのこと。