ブリュノ・コストゥマル 「だけど、誰がディジーのトランペットをひん曲げたんだ?−ジャズ・エピソード傑作選」

だけど、誰がディジーのトランペットをひん曲げたんだ?―ジャズ・エピソード傑作選

  • 菊地成孔の熱心なリコメンドに惹かれて購入。曰く「鈴木調ともいえるカタカナの使い方をベースにした訳文力と原著の力とのマリアージュが最高で、嫌みが無く、小粋で小気味の良い知的な文章」。
  • その菊池成孔が訳者である鈴木孝弥に送ったメールにあるとおり、「内容については、仰る通り、驚くべき新事実も、知ってる知ってるという定番も、いくらなんでもそれは違うだろという脇の甘さも総て備えている」というものですが、「1946年以降、彼はたとえばテクサスで炊事当番になり、フロリダでパイロットに、カリフォルニアでは大工とラジオの修理工になり、そして南米では外人傭兵にまでなった」ビリー・ティプトンや、「この3人の養子の父親であった74歳の男が女性だったことをまわりが知って仰天するのは、彼が1989年に他界した、実にそのときだった」ジャック・パーヴィスなど、知名度の低いミュージシャンに面白いエピソードがいくつかありました。
  • そんなに面白い本でもありませんでしたが、むしろ同じく鈴木孝弥訳のパノニカ・ドゥ・コーニグズウォーター「ジャズ・ミュージシャン3つの願い−ニカ夫人の撮ったジャズ・ジャイアンツ」を機会があれば読んでみたい。