宮部みゆき 「火車」

火車 (新潮文庫)

  • 仕事で波の高い荒んだ状況が続いているためか、気持ちに余裕がなく、なかなか読書に没入できないところ、知り合いが面白いと評価していた本作を手に取ってみました。
  • 確かに興味深いストーリー展開で、読み手の方から主体的に没入しなくとも、グイグイと引き込まれて読み終えてしまいました。文章の面白味やオリジナルな視点などはないので、読んでいて潤いには欠けるのですが、それらのものは他に求めるべきなのでしょう。
  • そういう意味ではレイモンド・チャンドラー(華麗な文体と地味に込み入ったストーリー)の逆で、他の著作も読みたいという気にはならないのも事実なのですが、今の状況にはマッチしていました。一応満足。
  • 1992年の連載ですから、1990〜1997年連載の青木雄二ナニワ金融道」と時代背景を共有するものと思われますが、貸金業法の改正等で状況は改善されているんでしょうか。