- 「レコード・コレクターズ」における山本幸洋のレヴューに惹かれて購入。曰く、「ファニア系独占によるサウンドの均一化」への「カウンターというべきアングラなサルサ、地下鉄のショップで流通していたモントゥーノ・レーベルの2枚組コンピ」で、「これこそが70年代後半〜80年代前半のNYサルサの尖っていた部分の象徴」。
- 「ストーリー詳細なライナーも本盤の価値を高めている」とのことだったので、少し苦労して邦盤を入手してみましたが、粗末な紙に極小のフォントで印刷された翻訳ライナーがついているだけで、しかも、冒頭の一文から「マンハッタンの地下鉄タイムズ・スクエア駅の地下に拡がる複合施設の中にある気取らないミュージック・ストアのRecord Martはニューヨークのラテン社会の最も重要な音楽上のランドマークト黙されていた」という激しい直訳調と誤字で、後は推して知るべし。輸入盤との差別化になっていません。
- コンテンポラリーなハイチ音楽やチャランガ・スタイルの楽曲、パーカッション・ベース・ヴォーカルのみのルンバ等も収録されており、モントゥーノ・レコードの幅の広さを感じさせるセレクションですが、やはり格好良いのはサルサ、それもプログレッシヴなサペロコやバタクンベレなどよりも、オーセンティックなビッグ・バンドスタイルのタンボーが好み。「ココ・マイ・マイ」や「ミエントラス・ヨ・ビバ」などグイグイ乗せられます。
- と思ったら、「米国ラテン音楽ディスク・ガイド50’s〜80’s」では、「実力のある人たちの集まりで実にしっかりとした演奏を聴かせるのだが、イマイチ印象に残らないのは、あまりに真面目すぎるからか?」という低評価(岡本郁生)で、ラテン音楽に関するリテラシーのなさを痛感。楽しいから良いんですけど。
- こういうラインナップの中ではアイアート・モレイラ「アキ・セ・プエデ」のサウダーヂ感が妙に感動的で泣けます。
- 翻訳はともかく写真も豊富でライナーは確かに充実(ジャケット写真も雰囲気があって最高)。曲目解説があればなお良かった。
- 少し前に聴いていた中村とうよう監修のお勉強系コンピレーションよりは俄然楽しかった。都会的なエッジの問題でしょうか。