Various Artists 「¡Saoco!: the Bomba And Plena Explosion in Puerto Rico 1954-1966」

SAOCO:THE BOMBA AND PLENA EXPLOSION IN PUERTO RICO 1954-1966

  • 「サブウェイ・サルサ」を愛聴していた時期に、もともとラファエル・コルティーホの「バイレ・コン・コルティーホ・イ・ス・コンボ」(1958年)、「コルティーホ・エン・ニューヨーク」(1959年)を愛聴していたこともあり、レコード・コレクターズにおける山本幸洋のレヴューに載せられて購入。曰く、「副題のとおり1954〜66年のプエルトリコにおけるプレーナとボンバのコンピで」、「3曲を除き、LPでリリースされていたもので珍しさはさほどではない。が、コルティーホ楽団やモン・リベーラ楽団ら有名どころの有名曲もきちんと収録されているし、表紙も含め36ページのブックレットも良い」、そして「本コンピを、50年前後のマンボ全盛期にプレーナ+マンボで人気を得たセサル・コンセプシオーン楽団およびドン・ラファエルを核としたセペーダ・ファミリーで補完すれば、シーンをかなり俯瞰できる」とのこと。
  • ブックレットはスペイン語あるいはプエルトリコ音楽史の知識があれば「良い」ものなのかもしれませんが、スペイン語→英語→日本語と二重に訳されたと思われる付属ライナーを一読しただけでは残念ながらほとんど理解不能です。
  • セットで語られることが多いためボンボとプレーナの違いが良く分からなかったのですが、マンボラマTokyo 「LATIN DANCE MANIA〜米国ラテン音楽ディスク・ガイド50’〜80’」によれば以下の通り。
    • ボンバは、「プエルトリコの音楽で最もアフリカ色の強い音楽とダンス。もともとは太鼓をメインに、歌手と群衆のコーラスがかけ合いをする形で進行していた。ロイサ、サントゥルセ、マジャグエスなど各々の町で独特のリズムが伝えられている。プレーナ同様ラファエル・コルティーホ、モン・リベーラによってモダン化されサルサへとつながり、現在でもサルサの中に頻繁に取り入れられている」。
    • プレーナは、「プエルトリコの古都、第二の都市ポンセで19世紀に生まれたといわれ、ヨーロッパ的なものとアフリカ的なものが絶妙にブレンドされたダンス音楽。カリプソのように“歌う新聞”的な性格も持っていた。もともとはパンデレータ(タンバリン様の打楽器)のコンビネーションで演奏され、今でもクリスマスなどでその編成で演奏されることも多いが、40年代にセサル・コンセプシオン、50年代にラファエル・コルティーホ、モン・リベーラによりモダン化され、ビッグ・バンドやコンボ形式でも演奏されるようになりサルサへとつながっていった」
  • 「このコンピレーションはCortijoとIsmaelの、当時の環境下での重要さに焦点をあてており、彼等の作品と、同時代の同じスタイルの他のアーティスト達とのコントラストを際立たせている」とあるように、結局のところはラファエル・コルティーホ/イスマエル・リベーラが中心で、コンピレーションに当然期待されるような収録曲のヴァリエーションの幅はないような気がします。
  • 通して聴いてみるに、自分が好きだったのは音楽スタイルとしてのボンバ/プレーナでも、楽団としてのコルティーホ・イ・ス・コンボでもなく、歌手イスマエル・「エル・ソネーロ・マヨール」・リベーラだったのかしら、というのが今回の気付き(もしくは予感)でしょうか。
  • 内省的な今の気分にはあまりフィットしませんでしたが、何にしても楽しい音楽で一応は満足。
  • ラファエル・コルティーホ/イスマエル・リベーラの動画がサラッと観られるんだから本当に良い時代です。格好良い。