ハル・ビュエル「ピュリツァー賞受賞写真全記録」

ピュリツァー賞 受賞写真 全記録

  • 成毛眞「面白い本」で関心を持ったアイテム。
  • 「ベスト&ブライテスト」のデイヴィッド・ハルバースタムによる序文が読ませます。ケネディー暗殺後の数日間は戦場取材に出なかった(「それから3、4日のあいだは、ベトナムの水田で自分の命を危険にさらすつもりはなかった。しばらくはベトナムでの戦争に誰も興味を持たなくなるとわかっていたからだ」)等のホースト・ファースのエピソードが凄いです(用心深さの甲斐もあってか昨年5月まで存命だったよう(享年79歳))。
  • 写真集に著者がいるというのはどういうことかと思いましたが、それぞれの受賞作品にハル・ビュエルが解説をつけています。ペラペラっと眺めてお終い、という想定を上回るそれなりのヴォリューム。
  • 寡聞にして知りませんでしたが、写真20点までを1セットとして応募できるとのことで、ここに収録されているのが受賞した全ての写真ではない模様(その点で邦題は少しミスリーディング)。特に特集部門の受賞作については収録点数に不満が残ります。
  • ここ数年、個人的な業務内容の変化や国内の政治情勢の流動化に伴い、世界情勢に関心を失いつつありましたが、改めて思うところ大。
  • ハル・ビュエルが紹介するエピソードも興味深く、10代で読んでいたらフォトジャーナリストを目指したかもしれない、と妄想するほどの満足感。以下、一読後に印象に残った10の受賞作。
    • 「アドレーの靴」ウィリアム・ギャラガー(1953年)
    • 「人間倉庫」ジャック・ダイキンガ(1971年)
    • バンコク路上の暴力」ニール・ウールビッチ(1977年)
    • 「群衆のなかの顔」ロビン・フッド(1977年)
    • 「峠のわが家」アーウィン・ハグラー(1980年)
    • 「浜辺での処刑」ラリー・プライス(1981年)
    • 南アフリカの抗争」グレッグ・マリノビッチ(1991年)
    • イラク再び」AP通信スタッフ(2005年)
    • ライオン・ハート作戦」ディアン・フィッツモーリス(2005年)
    • 「最後の敬礼」トッド・ハイスラー(2006年)