山下達郎 「On the Street Corner 3」

ON THE STREET CORNER 3

  • 山下達郎の一人アカペラ第3弾(1999年)。今のところシリーズ最終作。
  • 「19年前の『オン・ザ・ストリート・コーナー1』、13年前の『オン・ザ・ストリート・コーナー2』では、アカペラやドゥー・ワップを少しでも理解してもらおうと、意気込んでライナーや曲解説を書いてみたり、『2』ではフォア・フレッシュメン・タイプのアレンジも取り入れて、単調になりがちなアカペラ・アルバムに変化をつけようと工夫したりしました。そうした点では、今回の『オン・ザ・ストリート・コーナー3』は完全に原点回帰です。自分が歌いたい曲をアカペラで歌うという意味では、『1』以上に純粋でストレートかも知れません。有名無名を問わず、好きな曲・歌いたい曲を選んでおります」との本人の言に反して、いまひとつ散漫な気がします。
  • あまりにも有名な「スタンド・バイ・ミー」及び「恋は曲者」(1972年の自主製作盤「アド・サム・ミュージック・トゥ・ユア・デイ」と全く同じアレンジとのこと)、クールで格好良いけど浮いている「ラヴTKO」辺りが、トータリティーの面では足を引っ張っているでしょうか。
  • 一番フックが効いているのがオリジナル曲(「ラヴ・キャン・ゴー・ザ・ディスタンス」)というのも、シリーズのコンセプトからは逸脱しているように思われます。
  • その「ラヴ・キャン・ゴー・ザ・ディスタンス」の英語作詞者アラン・オデイが先月亡くなられたようで、サンデー・ソングブックで特集をしていました。
  • 「ドント・アスク・ミー・トゥー・ビー・ロンリー」について、「サビのメロディーのいいかげんささえも、ロックン・ロールらしくて許せてしまいます」とのことですが、どこがどのように「いいかげん」なのか、よく分からなくて歯痒いです。
  • 「とにかく死ぬほど好きなこの曲を、いつか『オン・スト』に入れるのが夢でした」と熱く語る「ラブ・ユー・ソー」に引っかかりを感じないことにも、前2作とは異なるすれ違い感を覚えます。
  • 「シーズンズ・グリーティングス」(1993年)という本シリーズに類似したアイテム(「『オン・スト』の姉妹編といえます」)もあるようですが、取り敢えずは打ち止め。シリーズ3作中では個人的には2作目が好みでした。