- 格闘技本は「サイコロジカル・ボディ・ブルース解凍−僕は生まれてから5年間だけ格闘技を見なかった」も読んでいないので、どうしようかとしばし悩みましたが、「今となっては『思い出すのもウンザリ』するほど豊かだった、05年から10年」との惹句が魅力的だったので購入。
- ただし、よくよく考えてみると、一般的な意味で総合格闘技の全盛期は、K−1がゴールデンタイムに進出した1996年〜PRIDEの地上波放送が打ち切られた2006年だと思われ、本書が連載されていた期間とはズレていることに、読み始めてから気がつきました。
- という訳で、個人的にも、連載で扱われているようなイベントや試合はほとんど観ていませんが、そこはそれ、いつもどおりの菊地節で、楽しく読めます。
- 第1次及び第2次UWFの思い出を熱く語る「UWF科学主義の熱狂と挫折」が意外に感動的でした(「完全に革命だと思いました」、「(前田日明対ドン・中矢・ニールセン戦が)オンエアされたときは、ウチで友だち5、6人で観てまして。2ラウンドから座ってるヤツなんかいなかったですよ(笑)」、「第2次Uが、最後の松本大会の2日後に分裂したときも、『こんなキツいことが世の中にあるのか?』って落ち込んでね」)。
- 個人的には、初めて前田日明の試合をリアルタイムで観たのはアレクサンダー・カレリンとの引退試合(WOWOWの引退特番)だったので、ギリギリ間に合っただけで、「とにかくワタシには一度きりでした。リアルタイムの強い現前性があり完全に乗れた、というのは」と言えるほどの共有感覚はありません。
- やはり人生何かにリアルタイムで感動していなくてはいかんと思いを新たにしましたが、振り返ってコンテンポラリーにのめり込んだと言えそうなのは、龍と春樹のW村上(呼称が古い)、クエンティン・タランティーノの映画、サラリーキャップ導入後のNFLぐらい。