2013-06-26 高橋源一郎 「日本文学盛衰史」 本 ネット某所で目にした橋本治「失われた近代を求めて?:自然主義と呼ばれたもの達」に関する記事〜青空文庫で読んだ田山花袋「布団」及び「重右衛門の最後」という流れで知った作品。 この流れの延長線上で知った、関川夏央/谷口ジロー「『坊っちゃん』の時代」を先に読んでいたため、それなりに楽しんで読めましたが、知的でアクロバティックな力作だとは思うものの、特に響かないのはいかんともしがたい。同じく文学を題材にしたパスティーシュである筒井康隆「文学部唯野教授」は乗れたんですが。 ポストモダン文学の旗手の作品に対して的外れかもしれませんが、本作は、ガチャガチャしすぎていて、なおかつ、圧倒するだけの勢いや伸びやかさにも欠けているような気がします。高橋源一郎作品は初めてなのでよくわかりませんが、単に好みの問題と割り切ってしまって良いのかもしれません。 関川夏央/谷口ジロー「『坊っちゃん』の時代」のあとがきで、「1997年から2000年にかけて、およそ3年半にわたって、わたしは小説『日本文学盛衰史』を雑誌に連載した。そこでは、『「坊っちゃん」の時代』を同じ時代を背景にし、同じ人物が登場する。わたしは、その長大な作品で、『文学』を発見する道を探ろうとした。だが、いうまでもない、関川夏央と谷口ジローの孤独な作業は、すでに、死者の中から、彼らを『再発見』していたのである。わたしは、彼らふたりの、後を見よう見まねで追いかけたにすぎないのである」と書いているとおり、この手の作風において着想の斬新さがないのも寂しいように感じます。