- 夏休み対応のチョイスだったようで、吹替メインの放送。デジタル放送の吹替の台詞を起こした字幕で鑑賞したため、微妙な違和感あり。
- 原作はロバート・ラドラム「暗殺者(The Bourne Identity)」(1980年)。海上を漂流していた記憶喪失の男がスイスの銀行口座を手がかりに自分の身元を探索する、という基本的な舞台設定以外は映画オリジナルとのこと。
- マルセイユ沖でイタリア漁船が意識不明で漂流中の男を引き上げてみると、背中に2つの銃創と臀部に埋め込まれた小型レーザープロジェクターがあり、取り出したプロジェクターを点灯してみるとチューリヒの銀行口座番号が投影される、という冒頭のつかみが素晴らしく、いい加減な気分で観始めたにも関わらず、ぐっと引き込まれました。
- ダグ・リーマンが原作小説のファンで映画化を切望したとのこと。なお、アメリカ国家安全保障局(NSA)で働いていたダグ・リーマンの父親は、イラン・コントラ事件にも関与しており、その父親から聞いた話がアレキサンダー・コンクリンの造形等のベースになっているようです。
- マット・デイモンがハードなトレーニングを積んでアクション俳優への転身を成功させた作品ですが、リアルタイムでの意外さを抜きにして観ると、本当にフィットしているかどうかはよく分かりません。微妙なミスフィット感も含めて良いキャスティングなんでしょうか。
- 領事館の壁伝いに降りるシーンが、地味ながらも、未来少年コナンを思わせる緊迫感あり。カーチェイスをボロボロでメンテナンスも悪いローバー・ミニで見せるセンスにも感じ入ります(カーチェイスはほぼセカンド・ユニットによる撮影とのこと)。
- 説明的な描写なし、暗い画面、地味なヒロイン等々、外連のないソリッドな作風ですが、記憶を喪失したスーパー・エージェント、CIAの極秘プログラムという荒唐無稽な基本設定とうまくバランスがとれているように思います。
- さはさりながら、子供が近くにいたからワムボージーを殺害できなかったというのは(そしてその記憶があの場面でフラッシュバックで蘇るというのは)なんぼなんでも、という気はします。