村上龍「自由とは、選び取ること」

自由とは、選び取ること (青春新書INTELLIGENCE)

  • 今読んでいる「歌うクジラ」の箸休めとして。2011年4月から2012年12月に「BIG tomorrow」に連載していた人生相談。
  • いかにも村上龍的なにべもない回答の連発ですが、村上龍本人も「今読み返してみると、自分でも、どこか突き放したような、冷たい感じがした」とのことですが、他方で「この人生相談の連載がはじまってから、わたしは『55歳からのハローライフ』という中編連作小説を書いた。定年後、退職後の中高年が主人公だが、彼らに寄り添うように小説を書くうちに、今を生きる人々に対するシンパシーが生まれたのだと思う」とあとがきで述べており、心境の変化を伺わせます。
  • 「わたしも、キューバ音楽と出会う前は、アイドルと呼ばれるような女性歌手のCDを好んで聞いていた時期がありました。いちばん好きだったのは、荻野目洋子さんで『六本木純情派』とか、よく聞きましたね。と、ここまで書いて、久しぶりに聞いたんですが、やっぱり今聞いてもいいなあと思って、『湾岸太陽族』や『ダンシング・ヒーロー』も聞いてしまい、おかげで原稿を書くのが40分ほど遅れてしまいました」というのは、本作のみならず、キャリアの中でも飛び抜けて赤裸々な記述でものすごく吃驚しました。