恩田陸 「夜のピクニック」

夜のピクニック (新潮文庫)

  • 近藤史恵サクリファイス」シリーズを読んでいる時に、もう少しコンテンポラリーな国内小説をと思って購入してみましたが、もはや10年前の作品なのでコンテンポラリーと言えるかは微妙なところ。
  • インパクトのある(あった)舞台設定とノスタルジックな雰囲気は悪くないですが、いかにも中年が振り返った高校生像でリアリティーは稀薄。もう少し自意識過剰だったり、将来が不安だったり、他人に狭量だったり、情緒不安定だったりして欲しい、と望んでしまうのは望月峯太郎バタアシ金魚」への思い入れのせいでしょうか。
  • 核となる異母兄弟の設定とか、渡米した友人が仕掛けた謎解きとかも抜きで、ダラダラと、クエンティン・タランティーノ的な無駄話が延々と続いて、時々不意にちょっとだけ切ない、というのが読んでみたかった気がします。