- 光文社古典新訳文庫も一時期それなりの数を買い求めていましたが、未だ一冊も読んでいない状況。出張に持って行く本の1冊に混ぜ込むことにより半ば強引に消化。
- 世評の高い有名短編を集めた撰集ではなく、リアルタイムで発表された3冊目の自作撰集を新たに訳出したところが、本作の特徴とのこと。
- ピンと来ないまま読了した「お坊ちゃん」が、村上春樹「ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック」に収録されていた「リッチ・ボーイ(金持ちの青年)」の再読であった上に、村上春樹が「ベスト3を選ぶとき(中略)まず落とせない作品」と評価する作品で、記憶力と感度の悪さを露呈。
- 続く「冬の夢」もピンと来なかったのですが、これまた野崎孝訳「フィッツジェラルド短編集」で既読、かつ、村上春樹が個人的に一番好きな短編と評価する作品でした(「『冬の夢』にはフィッツジェラルドの小説を構成する主要なファクターが実に無駄のない素直なかたちで凝縮されている。甘く哀しく苦く、救いがない」)。
- 「子どもパーティー」とか「グレッチェンのひと眠り」とか、撰集に入らないようなジャンクな作品と併せて読むことにより、名作の名作たる雰囲気も少しは分かったような気になれたのが利点といえば利点。喪失感がキーワードでしょうか。
- ことほどさようにフィッツジェラルド作品にピシッとチューンインできた試しがないのですが、どこかでハッとすることもそのうちにあるやもしれないという緩やかな期待に基づき今後も散発的に読み続けたい。
- 「夏の月下に潮の満ちるがごとく」「女らしくな」る、という洒落た言い回しが忘れ難い(「ラッグス・マーティン=ジョーンズとイギ○スの皇○子」)。