司馬遼太郎 「世に棲む日日(1)〜(4)」

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)  新装版 世に棲む日日 (2) (文春文庫)  新装版 世に棲む日日 (3) (文春文庫)  世に棲む日日(四) (文春文庫)

  • 考えてみれば、山口県萩市に在住経験があり、土地勘があるのは大きなプラス(そういえば京都市に住んでいたこともありました)。
  • 「野はつねに外交について現実的ではない。現実的であることを蔑視し、きわめて抽象的な思念で危機世界をつくりあげ、狂気の運動をくりひろげる」という指摘の腹落ち感。「現実的であることを蔑視し」というのがいかにも。
  • 「どうも私は頭の足りぬ、文字すら読めぬ阿呆が好きで」という高杉晋作に、「あなたのように癇が走りすぎているお人には、そのようなお女はやすらぎになりましょう」と返す野村望東尼。リアリティーあり。
  • 吉田松陰徒然草を「生前、ずいぶん手に入れたくてついに入手できず世を去った」というのも印象に残るディテイル。
  • 「おもしろきこともなき世をおもしろく」という辞世の歌を詠んだ人物の「動けば雷電の如く発すれば風雨の如」き人生はこういうものだったかと納得しつつ楽しく読了。伊藤博文山県有朋の若き日の活躍も印象的でした。