- 時代的にもオケージョンとしてもあまり興味がなかった第1回アナーバー・ブルース・フェスティバルですが、「レコード・コレクターズ」レヴュー(小出斉)で紹介されていた出演者ラインアップが魅力的だったので購入。
- 曰く「69年の同フェスといえば、マジック・サムが昔から有名だが、その全貌はといえば、いやあ、これが超豪華。もう収録順に名前を列挙します。ルーズヴェルト・サイクス、アーサー・クルーダップ、J・B・ハットー、ジミー・ドーキンス、ジュニア・ウェルズ、B・B・キング、フレッド・マクダウェル、ルーサー・アリスン、クリフトン・シェニエ、ハウリン・ウルフ、オーティス・ラッシュ、マディ・ウォーターズ、チャーリー・マッセルホワイト、マジック・サム、シャーリー・グリフィス、Tボーン・ウォーカー、ビッグ・ママ・ソーントン、ビッグ・ジョー・ウィリアムス、サム・レイ、ライトニン・ホプキンス、ジェイムズ・コットン、サン・ハウス。どうですか、お客さん!これだけのメンツ、よくぞ集めたもの。しかも、多少の重複はあるものの、バンド系の人たちは、基本的に自分のバンドを率いての登場だ」。フレディー・キングも聴きたかったですが、遺族の許可が下りず未収録。
- 1969年8月開催のもうひとつのウッドストック(昨年50周年)。「基本的に客席で勝手に録音した、というものが音源なので、観客もものすごく普通の話し声が入っていたり、J・B・ハットーなど、トランジスタ・ラジオのようだったりと、録音状態は良くない」ですが、それも雰囲気。音質は悪くともパッケージングが素晴らしく、何より最高の写真の数々。客との距離の近さ、ミュージシャン同士の親密さなど、当時のハッピーな雰囲気がひしひしと伝わってきます。バックステージで芝生に寝転ぶハウリン・ウルフとか最高。
- ライナーも良い。以下、面白かったポイントをいくつか。
- このフェスに手ぶらで遅参してきたマジック・サムが借り物のギターとバンドで演奏したのが「マジック・サム・ライヴ!」の後半。写真で見る限り、「マジック・サム・ライヴ!」のジャケットに写っているオフホワイトのストラトが借物だったよう。
- 発表前の新曲「スリル・イズ・ゴーン」を聴かせて、ルーズヴェルト・サイクスに感想を求めたB・B・キング。
- フレッド・マクダウェルが「ジョン・ヘンリー」を演奏したのはB・B・キングからのリクエスト。フレッド・マクダウェルの楽屋での演奏を聴いていた1人が無名時代のボニー・レイット。
- クリフトン・シェニエはライトニン・ホプキンズの妻のいとこ。
- 音源としては、特筆するような名演もないですが、ライナーを片手に雰囲気を楽しむ感じ。満足。