2020-03-25 白土三平「カムイ伝<愛蔵版>(1)~(4)」 図書館活用。大昔に文庫で挑戦した時は挫折しましたが、愛蔵版の判型の大きさが紙面の濃さと程よいバランスで読了できました。 70年安保と全共闘運動の盛り上がりと退潮とともに記憶される大作ですが、唯物史観と暴力革命が全面に出ていて、時代の洗礼を乗り越えられるかどうかは微妙な感じ。 「カムイ伝」連載の場として創刊されたのが「ガロ」。「ガロ」に触発された手塚治虫が創刊したのが「COM」、連載したのが「火の鳥」。 「実は死んでませんでした~」が頻出する等、各パーツはかなり行きあたりばったりなのがとても引っかかりますが、総体としては群像劇としての壮大なうねりを描出。 重厚な作品世界に馴染まない外来語(ドル箱、スランプ、アリバイ、ルート、パンチ、エネルギー、パパ、コース、タイプ等)が無頓着に飛び出す違和感。 「カムイ外伝」や「カムイ伝第二部」も余裕があれば手を出したいところ。