鹿島茂「子供より古書が大事と思いたい」

子供より古書が大事と思いたい

  • 増補新板でも新・増補新板でもなく雰囲気のある表紙の旧版を古書で入手。「私の本棚」収録の「愛人に少し稼いでもらう」を読んで興味をもったんだったか、入手の経緯は忘却。
  • ゲンロン14で「わたしが集めているのではなく、集めさせられている。その境地に至るのが大切です」と語っていた背景がよく分かる(「図書館に入れられた本は、同じ本でも生きた本ではない」)。
  • コレクションに熱狂する生き様が微笑ましくも羨ましいですが、「気がつくと借金は数億円に上っていた」(「愛人に少し稼いでもらう」)と聞くと笑ってもいられない。
  • 古書販売の世界の有り様も面白い。本秀康レコスケくん」を思い出す。
    他方でコレクションの対象であるフランスの挿絵本の歴史を解説した「アンコール」は、興味がないことを差し引いても面白味が全くない。
  • 「ファックスの普及で(中略)オークションの入札は本当に楽になった」という情報革命以前の世界が語られているのも魅力。増補新板ではインターネットによる斯界の変化にも触れられているのだろうか。