菊地成孔「クチから出まかせ 菊地成孔のディープリラックス映画批評」

クチから出まかせ 菊地成孔のディープリラックス映画批評

  •  月刊誌の連載で、連載当時公開されていた映画(12年間、140作品)について「観て即コメント」したもの。映画評論家・相田冬二が選定・聞き手・書き起こし。
  • 今となっては忘れられたような凡作・駄作も含めて、リアルタイムで観てしゃべった感想であるがゆえに今でも面白く読めるというところはありそう。 「(『ジャージー・ボーイズ』について)イーストウッドが実際この映画で何をやっていたのかは、はなはだ心許ない。何日か周期で撮影現場に来て、ディレクターズチェアに座ってただけ、かもしれません」、「(ジム・ジャームッシュについて)彼はすっかり老け込んで時代感のアンテナがおかしくなってしまった。かつて、ジャームッシュはずっとエッジーかつポップでありつづけると思われていた」、「『レザボア~』はまさしく90年代の到来を告げていた。『トップガン』や『愛と青春の旅だち』の80年代は終わったのだと(中略)『レザボア~』を見直すと、やはりあのとき、80年代が激烈に葬り去られワクワクしたのだな、と痛感します」など、笑ってしまったり腹落ちしたり、秀逸なコメント多数。
  • 作品を観てみたいという気持ちにはあまりならなかったけれど、読み物として面白かった。