ジム・トンプスン 「おれの中の殺し屋」

おれの中の殺し屋 (扶桑社ミステリー)

  • 「ポップ1280」と並んで新訳で発売されていたのを見かけて購入。
  • 昔々村上龍が「EV.Café 超進化論」で柄谷行人日本近代文学の起源」を引用しつつ、言文一致以降の歴史を経た現在、殆ど反省しない(内部が無い)ような極悪人を語る言葉がないような気がすると言っておりましたが。
  • 逆に一人称口語体で語ってしまうことでサイコがリアルに浮かび上がるのかしら、そう言えば「イン・ザ・ミソ・スープ」はどういうスタイルだったかな、と考え事をしながらもグイグイと引き込まれて読んでいたのですが。
  • 22章で一人称のまま冷静に自己分析が始まると積み上げてきた雰囲気がガラガラと崩れ去るようでもったいないような、でも他に方法は無いような。
  • 失速するかと思いきやビリー・ボーイ・ウォーカーの饒舌なキャラクターで何とか再加速して終幕。
  • これが半世紀以上前の作品(1952年)というのは信じ難いです。早過ぎたサイコホラー。去年の作品といわれても多分信じます。
  • 再評価で邦訳が進んでいる他、「ジム・トンプスン最強読本」なるものも発売されているようですが、次に読むのであれば「ポップ1280」でしょうか。