種村季弘 「食物漫遊記」

食物漫遊記 (ちくま文庫)

  • 料理関係の本に少し興味が出てきたので何を読もうかと検討、ハンニバル・レクター博士が読んでいたアレクサンドル・デュマ「デュマの料理大辞典」、古典たるブリア・サヴァラン「美味礼賛」、東海林さだお「ショージ君の『料理大好き!』」まで絞り込んだものの、書店で本書を見つけてもうこれで良いやと購入。
  • という経緯からもあまり期待していなかったのですが、ジュール・ヴェルヌ八十日間世界一周」でパスパルトゥーが牛肉が食べられなくて彷徨う件は1872年において古い情報、とか、一緒に煮ると泥鰌が豆腐に刺さり込む「泥鰌地獄」は実在するか否か、等等、やたらと面白い与太話の数々で、思いの外楽しかった。
  • 解説の吉行淳之介も言ってますが、「食味随筆」ではなくて「なかなか口にまで近づかない食物」の話なので、ちょっと方向性は違いましたが、他にも「書物漫遊記」「贋物漫遊記」という漫遊記シリーズがあるようなので気が向いたら読んでみようかなというところ。
  • 狩野近雄「好食一代」、檀一雄「わが百味真髄」、池田弥三郎「私の食物誌」など、読んでみたい本に関する情報も収穫。
  • 因みにマゾッホ「毛皮を着たヴィーナス」の翻訳もこの方の仕事でした。