- 昨年末にチャーリー・パーカーのダイアル録音を聴きながら書店ををウロウロしていた時に見つけて、「ロス・ラッセルはダイアルのオーナーだし、ここはひとつ買っておくか」と躊躇いながらも思い切って購入した評伝。
- なぜ躊躇ったかというと、二段組400ページ弱の大著+固めの翻訳文体+古めかしい活版印刷で読み通すのが大変そうだったからです。
- 覚悟を決め、読書の伴にパーカーのサヴォイ録音も購入して読み始めたところ、思ったよりはスムースに読めたのですが、読んでいる途中で、「ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン」が聴きたい、セロニアス・モンクも何か聴きたい、とやっているうちに楽し過ぎて逆に読了が遅くなってしまいました。
- 本書冒頭でパーカーに苛められるディーン・ベネディッティの録音した音源が実際に残っているようで驚きました(コンプリートでCD7枚組)。パーカーのソロのみを録音した、生半可な意気込みでは手が出ないアイテム。
- 映画「カンザス・シティ」に出てくる架空の店かと思っていた「ヘイ・ヘイ・クラブ」が実在していたのにも驚きました。1925年カンザス・シティ生まれのロバート・アルトマン。流石。
- 1942年〜1945年ぐらいの間の録音の空白地帯の辺りは特に読み応えあり。
- マイルス・デイヴィスの自叙伝のオープニングを飾るビリー・エクスタインのセントルイス公演をチャーリー・パーカー・サイドから見るとまた違った感興があります。1944年の夏というのはこういうタイミングだったのかと。
- 「私チャーリー・パーカーは、今後、ダイアルの印税をエムリー・バード(売人、通称ムース・ザ・ムーチ)と折半いたします」という手書きの念書まで載っていて、その臨場感たるや堪りません。
- 「バード、それだけ貰えるなら、私がアルトを吹くよ」とは流石エリントン、エレガントな切り返し。
- 充実した読書でした。満足。