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- 菊地成孔・大谷能生 「M/D マイルス・デューイ・デイヴィス3世研究」がやたら重かったので、次は文庫と決めていました。
- 「ヒーローみたいに生きよう」、「男は非情に生きろ!」、「自分の身は自分で守る」、「ルールを決めるのは、君自身だ」と明記された大変に恥ずかしい期間限定カバー版を購入してしまいました。これは辛い。
- 「カルト的オフビート性」などと言われるともっと取っつきにくいかと思っていましたが、筋立ては山あり谷ありで割と派手目なので、登場人物同士のヒリヒリとしたやりとりを楽しみつつスムースに読了しました。
- なにせ、家出した妹を連れ戻して欲しいという当初の依頼はフェイクで、実は16世紀にマルタ騎士団がローマ皇帝に贈呈するために作成した黄金の鷹像の争奪戦であることがジワリジワリと明らかになるという展開。
- マルタ島の貸借料が、マルタの鷹1羽/年だったのは史実の模様。また、マルタ騎士団は現存していて、微妙なステイタスながら国連総会にもオブザーバー参加しています。面白い。
- 「ハメットはすぐれた文章家だが、その切り詰め方にはよく切れる刃物のようなあぶなさがある。それがハメットの文章のラディカルな魅力ともなり、同時にひとつの欠陥ともなっている。あるときにはハメットの文章は我々をシュールレアリスティックなまでにハードでクールな場所に、ある場合には前衛的ともいえそうな場所に連れていく。しかしときとしてそれは、味も素っ気もない、耐え難いまでに潤いを欠く場所に我々を置き去りにする」と村上春樹は評していましたが、有名なフリトクラフトの逸話や意味ありげなラストなどを読むと、「すぐれた文章家」という感覚が上手く理解できません。
- カメラアイ・スタイルと言われるだけに確かに映画に適性がありそう。ハンフリー・ボガード主演の「マルタの鷹」も気が向いたらチェックしてみよう。