- 「時には人生はカップ一杯のコーヒーがもたらす暖かさの問題、とリチャード・ブローティガンがどこかに書いていた。コーヒーを扱った文章の中でも、僕はこれがいちばん気に入っている」という村上春樹の文章の方が一人歩きしていましたが、やっとオリジナルを読むことができました。
- 藤本和子訳は「ときには人生は、ただコーヒー、それがどれほどのものであれ、一杯のコーヒーがもたらす親しさの問題だということもある」、原文は「Sometimes life is merely a matter of coffee and whatever intimacy a cup of coffee affords」でした。
- これまで読んだ中で最もストレートアヘッドというかオーソドックスなスタイルなので、一番しっくり来ました。件の「コーヒー」や「きみのことを話していたのさ」、「ずっと昔、人々はアメリカに住むと決めた」、「朝がきて、女たちは服を着る」、「アトランティスバーグ」辺りが印象に残りました。
- リチャード・ブローティガンで初めて再読の予感がしました。
- 「伍長」の「アメリカ、そこでは挫折とは不渡り小切手のこと、あるいは悪い通信簿のこと、あるいは恋の終りを告げる一通の手紙や読む人々を傷つけるすべてのことばのことである」にグッと来ました。