Marvin Gaye 「At the Copa」

アット・ザ・コパ(紙ジャケット仕様)

  • ずいぶんと前に予約したのですが、度重なる発売延期を経て、今般やっと到着。日本限定企画とのことですが、どのような事情があったのでしょうか。
  • 1966年に録音されていながら2005年まで公表されなかったという、サム・クック「ハーレム・スクエア・ライヴ!」にも似た経緯ですが、えげつなすぎて(黒すぎて)発売できなかったサム・クック「ハーレム・スクエア・ライヴ!」に比べると、お上品すぎて(白すぎて)発売されなかったという感じなので、雰囲気は天と地ほどに違います。
  • 2005年発売のアルバムの再発が紙ジャケというのはどうなんでしょうか。コンパクトなパッケージは大歓迎ではありますが、微かに違和感を覚えます。
  • コパカバーナと聞いてクルーナー指向のマーヴィン・ゲイが燃えない筈もなく、いきなり「アイ・コンセントレイト・オン・ユー」からスタンダード全開で微笑ましいです。
  • 例によってモータウン・メドレーは可もなく不可もなくという感じですが、「アイ・キャント・ヘルプ・マイセルフ」〜「アップタイト」という他アーティストの楽曲のカヴァーは意外にハマッていて良かった。
  • 「夜のストレンジャー」は好きな曲なだけに期待していたのですが、収まりの悪いワルツ風のアレンジによって台無しになっていて残念。ストレートなアレンジで普通に歌えば抜群に決まると思うのですが。逆に、マーク・マーフィーで聴き馴染んだ「ディス・クッド・ビー・ザ・スタート・オブ・サムシング・ビッグ」は最高に格好良く決まっているように思います。
  • 泉山真奈美という人はあまり有名な人ではないと思うのですが、マーヴィン・ゲイ関係のライナーには外れがなく、例によって今回も興味深い内容。ジャニス・ハンターがスリム・ゲイラードの娘とはまったく知りませんでした。
  • 「バラッド・ナンバーが多すぎる」として発売中止を決定したベリー・ゴーディーにマーヴィン・ゲイは激昂したらしいですが、スタンダード指向を封印する意図があったのではという指摘には説得力があります。
  • 冒頭で、なぜか1980年代のマーヴィン・ゲイについて語られていますが、セクシャル・ヒーリングのヒットから死まで意外に時間があり(前者が1982年9月、後者が1984年4月)、その間にドラッグ問題を悪化させていたという事実は盲点でした。やはり早くデイヴィッド・リッツ「マーヴィン・ゲイ物語−引き裂かれたソウル」を読みたい。