Miles Davis 「Miles Ahead」

マイルス・アヘッド [Blu-spec CD]

  • 小西康陽マーシャル・マクルーハン広告代理店。ディスクガイド200枚。小西康陽」の思い入れたっぷりの紹介文(「この作品について、さらに何か付け加えることが出来るだろうか。『ペット・サウンズ』のように、もはや聴かれるべき人たちの許に届いた、と考えて良いのだろうか」)で購入決定。ブルースペックCD。
  • ブルースペックCDはSHM−CDと類似の技術らしく、通常のCDプレイヤーで聴けました。音質向上の程は良く分かりません。
  • 「+19」という表記は再発世代にはボーナス・トラック数を想起させますが、当然そうではなく(ボーナス・トラックは無し)、「19人編成(ギル・エヴァンスを含む)」という意味。19人をバックにマイルス・デイヴィスがソロをとるという、いわばコンチェルトのような形式で、なおかつ、全体としては各曲がシームレスにつながっていくという組曲のようなスタイル。
  • 菊地成孔大谷能生「M/D−マイルス・デューイ・デイヴィス?世研究」の関連部分を再読し、「ギル・エヴァンスのアレンジと指揮によって設えられた『金管楽器』のアンサンブルが、マイルスのサウンドをほとんど胎内的なまでに優しく柔らかく包むという至高の瞬間」、「そのミッド・センチュリー・アメリカ独特の洒落た雰囲気とリュクスなポップ感」、「マイルスがこれまで自身の中に抱え、また、様々なかたちで昇華してきた『白人ポップス』性の集大成であり、その完成形」、という視点の独自性と表現の上手さにまたもや唸らされました。
  • 一悶着あったというジャケット写真もサウンドと相まって猛烈なお洒落感を振りまいています。アナログLPのサイズが似合いそう。
  • ポップでフックの効いた「スプリングスヴィル」と「アイ・ワナ・ビー・キスト(バイ・エニワン・バット・ユー)」で挟んだところが最大の勝因ではないかと思うのですが、とにかくチャーミングなアルバム。
  • 「ブルース・フォー・パブロ」の訳の分からなさでさえも全体の調和に貢献しているような気がしてきます。
  • マイルス・デイヴィスギル・エヴァンスのオーケストラものは「スケッチ・オブ・スペイン」しか聴いたことがなかった上に、全くピンときていなかったのですが、これは「何で今まで聴いてこなかったのか」と思うほどであります。スプレンディド。