「フルメタル・ジャケット」

フルメタル・ジャケット [DVD]

  • 英語字幕に惹かれ、ゴールデンウィークにでも見ようかなというぐらいの軽い気持ちで店頭でDVDを購入したものの、8月になってしまいました。
  • ハートマン軍曹の罵詈雑言(「The first and the last word out of your filthy sewers will be "Sir"! Do you maggots understand that? Bullshit, I can't hear you!」)など、面白さという意味ではこれ以上面白いものもそうそうないのですが、勉強して役に立つ英語でもなさそうなので途中で諦めました。
  • むしろ面白いのは原田眞人による字幕。耳に入ってくるテンポの速い怒声と話語としてはナチュラルではないけれども強烈な字面のテキストが相まって醸し出すグルーヴ感が凄まじく、これはマスターピースだと思う。
  • 後半をどう評価するかということにつきると思うのですが、公開当時に観た時ほどは悪くないように思うものの、文学的説教臭さはどうしても引っかかります。前年の「プラトーン」(1986年)の影響があったのかなかったのか。
  • 前後半キッパリと分かれた構成こそがシンメトリーではないか、という解説を目にした記憶がありますがどうもインチキ臭い。
  • ミリタリー・ケーデンス(「ホー・チ・ミンはろくでなし」)、チャールズ・ホイットマンやリー・オズワルドのエピソード(「Outstanding!」)、卒業のスピーチ(「つまり、貴様らも永遠である!」)と、前半があまりにもキレキレ。兵舎の映像もこれぞスタンリー・キューブリックという感じのシンメトリーの構図がビシビシと決まっていて、格好良いことこの上ない。
  • リー・アーメイに軍曹役を奪われた機関銃手(ティム・コルセリ)は今となっては2chのAAにしか見えませんが、気合いを入れた甲斐あって記憶に残る怪演。
  • 「Ain't war hell?」を「戦争って地獄か?」ではなく「ホント戦争は地獄だぜ」と訳すセンスに痺れます。
  • 英語字幕(更には字幕無し)は「ミッドナイト・ラン」ででも挑戦してみます。