桂枝雀 「十八番(7) 鷺とり/口入屋」

十八番(おはこ) [DVD]

  • 桂枝雀のDVDボックス。ディスク7は「鷺とり」(1983年4月17日)と「口入屋」(1982年1月24日)。 コメンタリーは小佐田定雄に加えて、「鷺とり」が桂紅雀、「口入屋」が桂雀松。
  • 「鷺とり」の雀一網打尽作戦は、柳家小さんの「湯屋番」にも出てきて大好きでしたが、こちらも江戸っ子の雀などが出てきたり、雀が謡いを披露する(「ちゅうちゅちゅら、ちゅちゅちゅちゅら、ちゅちゅちゅら、おう、おう〜」)など、猛烈に可愛くて可笑しい。鷺とり作戦(「サーギー!」)とともに、非常に微笑ましくて好もしい。
  • 小佐田定雄によると「僕らの時(昭和40年代半ば)は、枝雀師匠の『鷺とり』は一番印象に残っているネタ。面白くてナンセンスで」とのこと。更に、にわかの部分は「これはねぇ、困りなんです」、「難しい方がええ」とのこと。何度聞き返しても良く聞き取れないのですが、「鐘と共に茶犬」は芦屋小雁が考案した駄洒落という説明だったんでしょうか。
  • 「1人助かって4人死んじゃったーとさー」というサゲはどうなんでしょうか。後年はトランポリのように塔のてっぺんに逆戻りというサゲになっていたようですが、どちらにせよ微妙な感じです。
  • 似た話(「鴨とり権兵衛」)を教科書で読んだような気がするのですが、「日本昔ばなし」だったでしょうか。
  • 「つぼ算」に続いて、桂紅雀のコメンタリー(桂枝雀宅の和室で録音しているらしい)が充実した内容。「初代(春團治)の良さが分からんような人とは喋りたくもないです!」と機嫌を損ねたエピソードや、小米時代の「饅頭怖い」のテープを聴いて「この人お上手でんなぁ。上手やけど私は今こんなんやりません」と言ったというエピソードがとりわけ印象深かったです。
  • 「口入屋」は落語らしい展開に絶妙なクスグリも満載、かつアクション・パックドな大ネタ(収録されたヴァージョンは省略されている箇所があるとのこと)。狂言回しがどんどん変わっていく他、中盤には言い立て(立て弁)まであって、桂枝雀曰く「頬張るネタ」。
  • 「私がこうしてますと、場末の映画館で前の奴に一発かまされたてな」というクスグリは先人から引き継がれたものなのでしょうか。「くしゃみ講釈」の「鋳掛屋のおっさんが軍艦の注文を引き受けた、というような顔」に近いニュアンスを感じたのですが。
  • 桂雀松はコメンタリー初登場ですが特段の聞き所なし。