- 梅原猛現代語訳「古事記」を読んだ後、本書を読むのはちょっと先になるかなと思っていたのですが、先日東京ディズニーランドに携行した際、アトラクション待ちの手持ち無沙汰な時間に大半を読了してしまったので、そのままの勢いで読破してしまいました。
- 「『日本書紀』三十巻のうち、文学的と思われる箇所を選んで、現代口語に翻訳したもの」ということで、ザクッとした抄訳ではありますが、一通り読むには程良い量。
- 読了の上、「日本紀は唐に倣って史書の講筵のために編纂された性格が強く、それは長いあいだ、古事記よりも上位に置かれてきた。古事記を発見したのは本居宣長であって、彼は古事記に対して日本紀は漢ごころに犯されたものとして排斥したから、それ以後ようやく記紀と並び称されるようになった。今日においては、語部の語りくちをかなりまで生かした古事記の方が、文体的な魅力にも富み、形象性も豊かであるので、古事記を愛読する人は多いが、それに対して説話や史実の素材は豊富だが、ほとんど純粋な漢文体で書かれている日本紀の方は、読む人も寥々として少いのである」という山本健吉の解説に「そういうものか」と納得。それなりの満足感。
- 古事記と同様、神代のカラフルさに比べると、応神天皇以降は当然のことながらリアリスティックで退屈しがちではありますが、全体としての面白さを諦めて、一つ一つのエピソードを見ていくと、「皇后磐姫命と八田皇女」(仁徳天皇の浮気)や「大工の真根と采女の相撲」(女相撲で大工を幻惑)など印象深いものも。