Tony Bennett & Bill Evans 「Complete Recordings」

トニー・ベネット&ビル・エヴァンス~コンプリート・レコーディングス

  • レコード・コレクターズ7月号」における「トニー・ベネットビル・エヴァンスのデュオによる2作は、ジャズ・ヴォーカルの永遠の名盤に数えられる。ベイシーとベネットの録音の時と同じく、お互いに契約していたレーベルが違うのでそれぞれのレーベルで計2枚のアルバムを作った。1975年と76年の録音でお互いに四十代中頃の脂の乗り切った時期の録音だった」という、高田敬三のレビューで興味を持ち購入。
  • 収録内容は、「今回の2枚組CDは、その2枚を合わせて、依然オランダで出ていたインプロヴ・レコーズの3枚組に収録のそれまで未発表の[1](20)(21)を追加、そして2枚目のディスクには二つのセッションの未発表の別テイクが何と20曲収録されている。ヴォーカル録音の別テイクというと内容は、ほとんど変わらないというものが多いが、ベネットとエヴァンスの場合は違う。単に歌手と伴奏者ではなく、お互いに対等な立場でテンポを変えたり、歌の表現方法を変えたりして、いろいろと二人が模索していた様子が窺い知れる。ベネットの自伝を共著した評論家のウィル・フリードウォルトのライナーも興味深い」とのこと。
  • ビル・エヴァンスとヴォーカルのデュオと聞いて、もう少し小粋というか瀟洒なものを想像していたのですが、意外に朗々と歌い上げるトニー・ベネットに違和感を覚えます。本当にこれは永遠の名盤に数えられているのしょうか。
  • というわけで、個人的なベスト・トラックは2枚目のアルバム「トゥギャザー・アゲイン」の冒頭のビル・エヴァンスのソロ「ザ・バッド・アンド・ザ・ビューティフル」。ヴォーカル入りの「ワルツ・フォー・デビイ」というのも目(耳)新しくて面白いですが。
  • 要するに「声が美しく、声量がありすぎるし、フレージングが明瞭すぎるし、素直に情感を込めて歌い上げすぎる。それのどこがいけないんだと言われるとすごく困るし、べつにいけないと言っているのではない」という、「ポートレイト・イン・ジャズ2」における村上春樹の記述に尽きるような気がします。
  • マーク・マーフィー辺りのアルバムを何か買ってみると今の気分にマッチするような気もしますが、よく分かりません。ジャズ・ヴォーカルのディスク・ガイドというものを見かけたことがないのですが、良いガイドブックがあれば欲しいところ。