- 40周年記念でこんなアイテムが出てくるとは思いませんでしたが、細かい編集が施されているためか、実際の演奏順になっていないのは至極残念。ボルティモア、ニューヨーク2回分、オルタモントの全公演を可能な限りそのままボックスに収めれば良いんじゃないかと思うのですが。
- ディスク2の未発表の5曲についてもそれほど驚くようなものはないのですが、「プロディガル・サン」、「ユー・ガッタ・ムーヴ」と続くアコースティック・セットの様子は割と斬新。ミック・ジャガーとキース・リチャーズ(ナショナルのリゾネーター・ギター!)が2人で椅子に座って演奏しているという渋さ(「ユー・ガッタ・ムーヴ」は「スティッキー・フィンガーズ」の録音前なので、この時点では単なるカントリー・ブルースのカヴァー)。
- 映画「ギミー・シェルター」で聴けた、メロウかつ適度にヤクザな感じの「アンダー・マイ・サム」が聴ける(オルタモントではなくマディソン・スクエア・ガーデン講演ではありますが)のはそれなりに嬉しい気もしますが、その「アンダー・マイ・サム」からシームレスに始まる「アイム・フリー」は、「ハイドパーク・コンサート」のヴァージョンなどを思い描いているとどうも爽快感が足りない感じ。やはり頭で「アイム・フリー!」とスカッと始まって欲しい。
- B.B.キングとアイク&ティナ・ターナーは良くも悪くも王道的なラインナップですが、「カム・トゥギャザー」は良かった(ローリング・ストーンズの前座でビートルズのカヴァーという趣向も笑える)。「ダンス天国」がもう少し格好良く決まっていればと惜しまれます。
- DVDに収録された、ステージ裏の様子では、ミック・テイラーのSG(右利き用に弦が張ってある)を弾くジミ・ヘンドリクスに目を奪われます。もうちょっと見たかった。
- 飛行機待ちでジェリー・ガルシア等とグダグダしている映像は何なんだと思いましたが、オルタモントに向けた出発直前の映像だそうで、そう言われてみると臨場感があります。
- キース・リチャーズのピアノ演奏は映画「コックサッカー・ブルース」でも聴けましたが、ヨタッている感じがグルーヴィーで格好良い。
- ジャケット写真については、演奏中の写真がボツになったので、スーツケースの上に小物を並べた写真を撮影したがジョイントが映っていてこれもボツ、というブックレットで紹介されているエピソードと、チャーリー・ワッツとロバをハイウェイ上で撮影するシークエンスとの関係がよく分かりません。
- ニューヨークでは、ミック・ジャガーとキース・リチャーズとロニー・シュナイダー(ツアー・マネージャー)の3人でジェームズ・ブラウンに会いにハーレムに行ったんだそうです(「白人は僕等だけしかいなかったけど、最高にクールだったな」)。
- 魅力的なパッケージになってはいますが、未発表音源が意外に少ない上に目新しさもあまりないため、鳴り物入りで発売された割りには満足度は低い気がします。結局オリジナルLP分のディスク1ばかり聴いていました。
- 「レコード・コレクターズ」の記事によると、「アルバム・タイトルは、ブルースマン、ブラインド・ボーイ・フラーの‘Get Your Yas Yas Out’のもじりとのこと」。