- 「桂米朝上方落語大全集第四期」。また間が空きましたが、第三十三集は「高津の富(1975年1月3日。大阪サンケイホール)」、「田楽喰い(1977年4月21日。大阪厚生年金会館)」、「除夜の雪(1976年11月16日。大阪朝日生命ホール)」の3つ。
- 「高津の富」は、どうしても桂枝雀と比較してしまいますが、随分演じ方が違うなと感心する部分もあるにはあるのですが、どちらかというとこんなに細かいところまで同じなのかと驚く方が多かった。師弟の関係というものに感じ入ってしまいます。
- 真鍮で出来た小判の押さえ板で伊勢詣りをして無事に帰ってきたというマクラは可笑しくて、かつ「そんな感覚だったのか」と感心させられます。
- 胡散臭さも含めて自然な雰囲気があって、泊まり客の法螺も良い感じ。
- 「田楽喰い」は別名「ん廻し」。お金の算段がつかない前半、兄貴を騙す中盤、「ん廻し」で田楽を食べる後半とありますが、中盤が何と言っても楽しい(「あのね、兄貴あんた、何のうらみがあって、そないわたいにばっかり聞く、ちょっと他の者にも・・・・・」)。
- 桂米朝の解説によりますと、「この落語の言い立ても旅ネタと同じく、呼吸をはかってトントンと喋り立ててゆく、いわゆる口さばきのネタでして、若い内にやらされるものです。しかし、前半の兄貴分の男の家へ行ってモタモタと喋る件は易しくありません。ここは案外むつかしいのです」とのこと。
- 解説されている本来のサゲ「焼かず(矢数)でくわす」がよく理解できませんでしたが、三十三間堂の通し矢で当たった矢の数だけ食べさせるという趣向なのでしょうか。
- 以下分かった範囲でメモ(たいてい速記が付いているので上方落語は調べ易い)。
- 「除夜の雪」は、しっかりものの珍念に笑いつつ油断して聴いていると、予想外の展開を経て、驚愕とともに終わってしまう異色の新作落語。「大阪市中の寺に事実あったこととして伝わっていた因縁ばなし。それを基にして永滝五郎氏の作った新作落語−と言っても、書かれたのは十年以上も前のことです。原作はもっと長かったのですが、短くまとめ直しました」とのこと。
- 以下分かった範囲でメモ。
- 堅炭=堅くて、火力の強い炭。ナラ・カシ・クリなどを原料とする。荒炭。
- 提灯に釣り鐘=釣り合いの取れないことのたとえ(形は似ているが、重さは極端に違うところから)。
- 次集、第三十四集は「池田の猪買い」、「馬の田楽」、「べかこ」。