- 「桂米朝上方落語大全集第四期」、第三十五集は「天狗さばき(1972年4月23日。京都府立文化芸術会館)」、「近江八景(1973年9月4日。大阪厚生年金会館中ホール)」、「牛の丸薬(1973年4月9日。東京第一生命ホール)」の3つ。
- 「天狗さばき」は、京須偕充の解説によると、「古い噺を三代目桂米朝が整えたもので、以後東西で演者が増えた」とのことですが、他方で桂米朝の解説によると「この落語は東京の金原亭馬生師の放送で、私ははじめて耳にしたものです」とのこと。
- 非常に良くできた噺でとても楽しいのですが、「はてなの茶碗」同様、こういうテキストで読んでも面白いキッチリと構成された噺は、意外と繰り返しは聴かない傾向があるような気がします(これを楽しみに第四期を選択した程なのですが)。
- 「近江八景」は、本人の解説によりますと「結末はまことにお古いことばゲームの様相を呈するが、中盤までの主人公と友人、易者とのやりとりはなかなかおもしろい」とのことですが、どうしても古さが耳に残ります。
- 他方で、京須偕充の解説によりますと、「圓生の証言によれば、一晩に必ず一席は『近江八景』が寄席の高座にかかるほどはやったことがあるという」、「地名や人名などの固有名詞を織り込んだ言い立てが喜ばれる時代でもあったのだろう」、「今でも、こういうところを軽快かつ流麗にこなせば、お客は半わかりながらもついていくのではないだろうか」とのこと。
- 以下分かった範囲でメモ。
- 「牛の丸薬」は、「作者は誰か判りませんが、実に巧妙にできてまして、ほんにこれならかかるわいと思いますな」との解説のとおり、よくできた手口で、春先の季節感も漂う情緒ある噺ですが、惜しむらくは発端からサゲまでを繋ぐ生命線「大和炬燵」がイメージし難いこと。
- 以下分かった範囲でメモ。
- 次集、第三十六集は「しまつの極意」、「坊主茶屋」、「桃太郎」。