Herb Alpert & The Tijuana Brass 「Lost Treasures」

ロスト・トレジャーズ

  • これも小西康陽マーシャル・マクルーハン広告代理店。ディスクガイド200枚。」からのチョイス。「たとえば『プロミセス・プロミセス』を聴くなら、この男が鼻歌を歌うことにおいて天才であることに気付くはずだ。音程もリズムもアーティキュレイションも正確な鼻歌。さらにこの男が優れているのは、鼻歌で歌うのに適したメロディであるか否かをたちどころに聴き分ける才能を、そして鼻歌とまったく同じようにトランペットを吹く才能を持っていたこと」という賛辞とジャケット写真の組み合わせが抗い難い魅力を放っていました。
  • 日本ではオールナイト・ニッポンのオープニング・テーマ「ビター・スウィート・サンバ」が局地的に有名ですが、1990年代渋谷系におけるA&M再評価の波とともに、1970年代の諸作品が浮上した、という構図なんでしょうか。
  • 「遙かなる影」、「アイ・マイト・フライトゥンド・ハー・アウェイ」、「雨にぬれても」、「アイル・ネヴァー・ファール・イン・ラヴ・アゲイン」というバカラック・ナンバーが上々の雰囲気で、中でも「プロミセス・プロミセス」は粋の極み。
  • その「プロミセス・プロミセス」は映画「アパートの鍵貸します」(1960年)に基づくミュージカル(1968年)。作曲バート・バカラック、作詞ハル・デイヴィッド。コリオグラファーは「コーラス・ライン」のマイケル・ベネット。「アイル・ネヴァー・ファール・イン・ラヴ・アゲイン」も同ミュージカルからのヒット・シングル。
  • 変わったところでは、ガーション・キングスレイのテクノ・クラシック「ポップコーン」までカヴァー。これはこれで格好良くきまっています。
  • 最後の最後、キャット・スティーヴンス「ウィッスルスター」のカヴァーがまたこの上ない素晴らしさで泣けてきます。オリジナル・アルバムだったとしても極上の締め。
  • 曲のチョイスはもちろん、アレンジ、録音とも良好で、ジョイフルなサウンドにゆるゆると気持ちが和みます。季節がもう少し暖かくなってくるとシチュエーションとしてはバッチリという感じ。