- 「質屋蔵」は、京須偕充の解説によりますと「菅原道真の太宰府赴任は左遷だが、俗には九州に流されたという。島流しと質流れをかけたサゲだ。骨子だけなら短い噺だが、六代目三遊亭圓生(1900〜79)のように旦那の推測談義、定吉のペテン、熊五郎の度重なる横領自白をたっぷりやると四十分以上の長尺になる」とのこと。
- 確かに骨子だけなら何ということもない古風な噺ですが、このヴァージョンでも旦那の逆恨み妄想と熊五郎の自白が大きな聴き所。桂米朝の解説によると、ここは「ダレ場」で「話術としては難しいところ」、「この前半を持ちこたえるためには、やはりかなりのキャリアが要る」とのこと。
- 以下分かった範囲でメモ。
- 節季=盆や年末、または節句前の、掛け売買の決算期。
- うろがくる=うろたえる
- 燗ざ=燗冷まし
- 片口=一方にだけ注ぎ口のある長柄の銚子
- 小柳=小柳繻子:絹のやや薄地の繻子。
- 竜紋=絹の平織物の一種。羽二重に似るがやや厚地。
- 「鉄砲勇助」は、桂米朝の解説によると、「東京ではこのはなしは二つに切られて、『嘘吐き弥次朗』と後半が『嘘吐き村』という別の落語になっています。その方がネタとしてはすっきりしますね」とのことで、確かに主人公が「バカバカしいギャグの連続」を喋りまくる前半と、後半の嘘吐き村の件でスパッと切れている感じ。
- 以下分かった範囲でメモ。
- 鉄砲を言う=嘘をつく、大ボラを吹く
- 次集、第三十八集は「千両みかん」、「風の神送り」。